Tomohiko Sugino

修作 Ⅱ – 曖昧な空間 –

for two Cl. and Max (2022)

 人間は左右の耳が別々に機能しており、色々な音情報を補い合っている。音の刺激が、両方の耳に与えられるような聴取状態を両耳聴という。両耳聴は、音の定位(音が鳴っている位置を定める能力)、両耳加算効果(片耳で聞くよりも両耳で聞く方が3dB程度音が大きく感じられる現象)、平衡機能等に繋がる。
 難聴である僕は、両耳聴による効果も低下している。例えば、街中で突然あらぬ方向から話しかけられかけた時、話者の位置が特定できず、話者と反対の方向を向いてしまうことがしばしばある。音の定位が曖昧なのだ。
 本曲では、このような現象を再現するために4つのスピーカーを用いて、様々な方向から音を出した。

初演:2023年 個展「聴常現象 Vol.1」
Cl.:岡田愛音 西前菜々子 Max/Msp:杉野智彦