Tomohiko Sugino

2023/12/28

 右耳の補聴器が壊れて約1週間が経った。

 先週の日記を読んだ方にはご存知の通り、僕の聴力は障害者手帳が発行されないレベルの感音性難聴である。言い換えれば、障害を持っていても不便なく一通りの生活はできると、行政から宣告されているようなものである。(少々言い過ぎかもしれないが。。。)実際はというと、かなり不便なものになった。まず、僕の生活は①左側だけ補聴器を使用して生活する。②両耳とも補聴器を使用しない。2パターンでの生活になった。今回は、その経緯をまとめる。

12/21,22

 壊れた右耳の補聴器は、スピーカーの機能は劣るものの音を出力することはできている。そのため、1〜2日は外さずに使用していた。なんとなく外すことに躊躇する自分がいたのも否めない。左耳と比べると、音量は半分くらいになっていると感じる。長年の友人と食事に行ったが、難聴にも理解を示しているので会話にはそこまで困ることはなかった。不便のない生活。少し聞こえにくいだけである。

 異変を感じたのは2日目、引っ越しの片付け中に音楽をかけていた時だ。右耳の補聴器の電池が切れ、電池を変える時に補聴器を外した。音が聴きやすい。補聴器を通して音を聴くよりも、外した方が音の聴取がしやすいのだ。これを機に、僕は右耳の補聴器の使用を止めることが増えた。

 この時まで気づかなかったが、僕は補聴器が壊れていようが、補聴器を使用することで精神的な安心を求めていたのかもしれない。

12/23,24

 朝から晩まで引っ越しの用意に追われる。外出はしたものの。両耳とも補聴器をつけた状態であった。

 24日の17:00 管理会社が来る。この10分前、左耳の補聴器の電源が切れた上に、替えの電池がないハプニングが起きた。引っ越しの手伝いに来ていた友人の手を借りて手続きを進めればいいかと思っていたが、あまりにも管理会社が緩く、確認作業も紙をペンで指差しながら行っていたためほぼ影響はなかった。この時、多分僕は補聴器を使用しなくてもなんとかなるのではないかという心が芽生えたのかもしれない。

12/25

 引っ越しに続く留学の用意や片付けに追われた。(外出もほぼなし。)

12/26,27

 留学の用意のため、名古屋まで出ることになる。この時意を決して右耳の補聴器を外した。片耳だけ補聴器を使用することによって、メリットやデメリットが生じた。

メリット

・街中のうるさいBGMが聞こえない!!(これはかなり幸せだ。)

デメリット

・音楽が片側からしか聴けない。(僕の使用する補聴器は、Bluetooth技術が用いられている。)

・店員と話すときに、左耳を傾けなくてはいけない。これまでは聴き耳が右だったので、不思議な感じがする。

12/27

 伏見の名古屋市美術館に友人と赴く。補聴器の使用は左のみ。驚くことに、美術館に行くとほぼ無音と言っても差し支えないくらいに音が聴こえない。いつもは足音や、エアコンの音が聴こえるがそれさえ聴こえない。友人が時折話しかけてくるが、声のボリュームを下げて話すので(当然だ。。。)ほとんど聴こえず、なんとなく曖昧な返事しかできなかった。もちろん、後から事情を話した。

 美術館を出て公園を通り過ぎる時印象的な出来事があった。子供たちが元気に走り回っているのに、ほとんど音が聴こえなかったのだ。聴こえるのは「(キャ)ハハハハ」と走り回る時の声だけだ。子供たちの近くで歓談する主婦の井戸端会議に至っては近く(3mくらい)に行っても聴こえなかった。静かな公園。奇妙なくらい静かな公園だった。

12/28

 19:18。日記を執筆中。この日は、web制作の仕事やパソコンのデータ整理を行った。音楽を聴取するために、両耳の補聴器を外して生活した。不思議なことに、いつもよりベースの音がよく聴こえる気がした。多分。

 20:00から大学学部時代同期だった友人と夕食に行く。右耳の補聴器の使用をやめたことは告げてない。

 少なくとも、慣れれば右耳の補聴器は使用しなくても生活できる気がした。先週との変化は、左に体を傾けることが多くなったことくらいだろう。右耳の補聴器の有無による変化は音量の他に、言葉の輪郭が捉えにくくなったように感じる。言葉にするのが難しい。僕の個人的な主観にしか過ぎないが、子音が聴こえにくいために、言葉の判別がしにくくなっているのだと思う。当然、右耳側から話しかけられる場合、聞き直す場面が増えた。左耳が生きているので差し支えはないのだが…

 ただ一つ心配なのは、留学先でのことだ。僕は楽観主義なので、どうにかなるだろうと思っている。し、僕のことだからどうにかしてくれると思いたい。