Tomohiko Sugino

2024/02/22

留学によって新しい聴こえの体験をすることで、自分の耳にはいろいろな変化があった。あるいは、それは前から変わってないだけで、新しい側面に気づけたのかもしれない。前回の記録が1月19日なので、おおよそ2ヶ月半が経ったことになる。

今回は2月中旬に起きた聴こえの変化について記録する。科学的根拠のない個人的な感覚でしかないが、片耳のみ補聴器を使用した状態においても、偏りがなくなってきたように感じる。

そう感じたのは、オーケストラの演奏会を聴きにいった時だった。僕の留学先の街であるタンペレには、毎週金曜日に演奏会を開催していることが多い。チケットの値段も日本と比べるとかなり割安でおおよそ800円前後あれば学生価格のチケットを買うことができる。僕はこれまでに4回の演奏会に赴き、時系列順に、中央、1列目、後方右側、後方左側の3種類の席を使用し、自身の聴こえを比較してみることにした。もちろん演目内容がそれぞれ異なるのでこの比較方法は厳密には正しい比較とは言えない。

まず最初に行った演奏会では、中央の席を使用した。この時僕は特に、左の補聴器の有無によって聞こえの変化があると考えていたので、時折左の補聴器を外して聴いていた。当たり前の話だが、補聴器をつけている時の方が音は大きく聴こえた。この時は左右の音のバランス等はあまり気にせずに聴いていた。

その時に僕は、チケットがそこまで高くない音を理由に色々な席で自身の聴こえを比較してみようという気になった。この時点ではまだ左右に聴こえの偏りがあるとは思ってもいなかった。1列目の席においては、当たり前の話ではあるが、とにかく弦楽器の音が極端に大きく聴こえる。ここで音を比較する際の注目すべき点は、弦楽器以外の音がかき消されずにどう聴こえるかという点である。この時の僕の予想は、フルートの低音から中音域にかけての音を右耳で聴き取ることは難しいのではないかと考えていた。結果としては予想に反して左右均等に聴こえたため、僕はこれをきっかけに自身の聴力の偏りが脳によって補われている気がした。

ただ、例外として、

・大きな音が鳴っている環境で、小さい音を聴くこと。

・音の定位が定められず、音量が大きくない場合。

はやはり、左の耳のほうが音が良く聴こえる。

つまり、聴く対象の音が大きい場合に限り、脳が何らかの作用を起こして右耳の聴こえを補完しているのではいだろうか。