Tomohiko Sugino

2024/02/27

 フィンランドに来て空気や音がとてもしずかであると感じる。それは日本と異なって、街中や電車での音を伴った広告がほぼフィンランドでは見られないことが起因していると思う。さて、僕は第29回 Campus Genius Contestのために2月末に東京へ行った。滞在期間は3日間という短い期間であったが、この間に聴こえに関する感じ方の違いがいくつか発見できた。

 日本に帰った時に一番感じたことは、ひたすらにうるさいということである。電車の発車ベル、広告、街中の音の全てがうるさく感じた。フィンランドでは音を伴う広告はほぼない。もちろんYouTubeなどの広告は存在するが、そのボリュームでさえ日本と比べると小さい。(日本では、広告のボリュームを恣意的に上げて制作されている。)外を走る工業車には、「この車が発する音は〇〇dbで生活に影響を与えません。」というシールまで貼ってある。音があたりに与える影響が考えられている。対して、日本には音に配慮するといった場面は少なく感じる。もっとも、電車の中では電話をしないというルールはあるが、その反面車内に流れる広告は大音量であるため、常に聴きたくない音を聴かなくてはいけない。(フィンランドの鉄道では、電話をして良い車内とダメな場所で分かれている。トラムでは基本的に自由である。)あまりのうるささに、手の全ての関節が青くなってしまう現象まで起きた。あくまでも個人的な範囲で調べた限りでは、レイノー現象というもので、寒さにさらされたり精神的な影響によって、細い動脈が発作的に収縮し、手足の指の皮膚の色が蒼白、暗紫になる現象らしい。もちろんフィンランドの方が寒いので、必然的に精神的な影響によるものだと予想している。また秋葉原駅にて電子部品を買いにいった際に見ず知らずの人に体当たりされたこともこれに要因している可能性はなくもない…

 結局東京では僕はほぼイヤホンを使用して周りの音をシャットアウトしてなんとかやり過ごした。ヘッドホンやイヤホンのノイズキャンセリングは、音楽に没入する以外に、今回の東京での体験のような「音の公害」から耳を守るためにあるのかもしれない。もちろんフィンランドに戻る前、飛行機に載った時にはすでに指の青白さは無くなっていた。