Tomohiko Sugino

2024/03/19

 2月末に東京にいった帰りの飛行機がオーバーブッキングになった。そのため、僕は数時間後の別の飛行機に乗って帰ることになった。一悶着あったが、僕はそれによって300€近くのバウチャーを手に入れることができたため、3月初旬にフランスへ訪れた。なんでもフィンランドにはスキー休暇という面白い休暇がある。これはフィンランドの南の地区から順にスキーをするために休暇を取るという変わった休暇で、もちろん学校も例外なく休みになる。フランスには友人が住んでいるので1週間と少しお世話になってルーブル美術館や演奏会に赴いた。
 そのうち印象的だったのは、とある朝にパンを買いに散歩に出た際(フランスのパンはとても美味しい。僕のおすすめはクロワッサンで、クロワッサンの店のランキングまで存在する。)ふとした時に聞いた鳥の鳴き声である。フィンランドに来てから久しく鳥の声をあまり聞くことがなかったので、フランスに来てそれが新鮮に感じた僕は、自身の興味から補聴器を外してみた。すると、その鳥の声は聞こえなかった。鳥の種類やその距離にも影響していると思うが、電線に止まっているような小さな鳥の声が聴こえないのだ。これは、両耳の補聴器が使用できなくなった時に感じることができなくなる音の種類について印象つける機会となった。

 環境を変えることによって気づく音の変化は、きっと僕にとって良い経験だと感じた。いつか訪れる左耳の補聴器の故障した時、それはより鮮明になることだろう。補聴器を失った時に感じるであろう聞こえの変化が恐ろしいと感じる自分を今回は体感することになった。