2024/06/23
僕は現在ウィーンにいる。フィンランドの学校での長期休暇を利用してヨーロッパを一周しているのである。その中でもとりわけ楽しみにしていたのが、オーストリアのウィーンにある音楽の家である。ここには、僕がMax /Mspで作成したベートーヴェンの聴力を再現する装置が、研究者たちの手によって作成され設置されている。僕が作成したベートーヴェンの聴力の再現装置は、科学的な論文によって再現されているが聴こえのわからなさ故に果たして本当に正しく表現されているのか頭のどこかでは不安な気持ちがあった。ウィーンの家での再現装置は、補聴器の会社が主導となって行っていた。実際に聴いてみると、自身の再現装置とウィーンの家のものの聞こえはかなり似ていたと僕は思う。今後の目標としては、ウィーンの家の聴こえの再現装置を作った方とコンタクトをとり、その方法論や補聴器についての話ができればと考えている。
ヨーロッパ1周の目的はもう一つある。それは、各地のアンティークマーケットを巡り、ベートーヴェンが生きた時代、あるいはその周辺の時代の補聴器を探すことである。聴こえに関する意識が深まったのは1800年初頭、ちょうどベートーヴェンが交響曲1番を書いた頃である。この頃金属製のイヤートランペットというタイプの補聴器がロンドンから販売された。 そして1800年代後半に入り、電話を開発したグラハム・ベルらによって聴こえの理解急速に進んだ。
僕の聴力は、ベートヴェンの聴力に関する先行研究によるとベートーヴェンの30代と40代の中間くらいである。(あくまでもオージオグラム上であり、実際にはかなり異なる可能性もある。)つまり、僕がベートーヴェンが生きた時代周辺のイヤートランペット型補聴器を使用することで、ベートーヴェンが体感していたであろう音を試したいと見たいと考えているのである。今後続く旅でその補聴器wを購入することができれば、その体験も創作に還元したい。